藤田政明さんをしのんで

 

 若松光一郎

 

 藤田さんが急逝されてから、もうかれこれ二年になります。

 いわき美術協会、いわき市民ギャラリーの役員として、又いわき市編纂委員としての美術部門の執筆を担当して活躍されました。

 この度、文化センターで藤田さんから絵画の指導を受けていたサークル心画会の皆さんの肝入で遺作を展示することになりました。

 私は藤田さんの作品の中でも中央展に出品しようとしてひたむきに描いていた100号大の抽象の作品がいまだに脳裏に浮かび印象深いものがあります。この作品は、盛岡市で開催した東北新制作展に出品して受賞したと思います。

 人間の生涯の中ではだれでも浮きしずみの時代がありますが、私は彼の数少ない大作の中でこの時代の作品が一番熱気が感じられ充実した時期であったように思われます。

 益々良い作品を制作されることを望んでおりましたが、思いもかけない病に倒れて再びその作品に接することのできないことは惜しまれてなりません。

 我々いわき美術協会の親しいメンバーを又、一人野辺に送ることは何ともやりきれない悲しいことです。

 

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